Episode-02:忘れ物05
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「涼宮さんですか、彼の体調はようやく落ち着いて、いまお粥食べてます」
「そう!よかったわっ、平団員のくせに心配かけすぎよね!」
安心したのか、涼宮さんは口々に言葉を紡ぐ。
「古泉くん、いまからそっち行くわ!いい?」
「彼に聞いてみますね、折り返しまたお電話します」
涼宮さんの返事を聞いて、携帯を閉じる。
少し、寂しい気がした。

病室に戻ったら、キョンくんはお粥をきれいに平らげており、ぼーっと外を眺めていた。
「キョンくん?」
「古泉」
声をかけたら、ぱっと振り返るキョンくん。
とても嬉しそうに目が輝いている。
「どうしました?」
「いや、一人でちょっと…な」
ポッと林檎みたいに、顔が赤くなった彼、とても可愛らしい。
ぎゅっと抱きしめようと腕の伸ばした瞬間に、彼へ聞くことがったのだと思い出し、名残惜しくも腕を引っ込めた。
「キョンくん、涼宮さんがこちらへ来たいそうです。どうしますか?」
キョトンと首をかしげるキョンくん。
「どうしました?」
何やら不穏な空気に違和感を感じて、腰をかがめてキョンくんと視線を合わせる。
キョンくんは、ふっと目を細めて口を開いた。
「ん…と悪いんだけど、涼宮…だっけか?…誰?」

僕の周りの空気が凍りついた。



 

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