Episode-01
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いつからだっただろう?
気づいたら、彼は食べなくなっていた。
食べないのですか?と聞くと彼は決まって後で食べるから気にするな。
と自ら食べる姿をさらさなくなった。
それはどの場所、時間、誰と一緒でも変わらなかった。

あれからどのぐらいたったか、彼を抱きしめる腕に余裕が出てきた。
痩せました?と聞くと、最近太り気味だったからダイエット…をな。
と何やら引っかかる答え。
そもそも彼はそこまで太っていなかったはずだ。
どうして気づかなかったのだろう?

僕はいつも彼のそばにいて、彼を見てきたというのに。
嗚呼、これでは恋人と言えない…な。

そうして、月日が流れて。
彼が学校に来なくなった。
その時にはすでに僕は、彼のことを理解していたけれど。
理解するのが遅すぎたと思う。
後悔ばかりしか出ないけれど。
本当にもう少し早く。早く気づいていれば。
彼もこんなことにならずに済んだのに。

彼は病院のベットの上。
重度のストレスで胃が食べ物を受け付けなくなったのが数か月前。
それから、すべて、点滴による栄養補給しかしていなかったのだという。
道理で痩せるはずだ。と納得する反面、どこか起こっている自分がいた。
当たり前だ、そんなことになっているのに気付きもいなかったのだ。
数か月…いや、3ヶ月の間。
彼は日に日にやせ細っていった。
ストレスはもう皆無に等しいのに、彼は…いや、彼の体は食べ物を頑として受け付けようとしなかった。
焦る僕。
睡眠というよりも、意識がない状態が多く続く彼。
僕はそばで見守ることしかできない。

神様、お願いします。
一度でいいから僕の願いをかなえてください。
お願いします、彼を、キョンくんを助けてください。




   

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