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「……男だ。」
三人は、なにが?という風に頭をハテナにしている。何と言う間抜け面だと鼻をすんっと擦り笑うと、俺は包み隠さず全てを話した。
出会いから再会、そして女だと思っていたら実は男で。しかし知った時既に遅し恋は始まっていたと言う事。
三人はうんうんっと時折頷きながら、俺を茶化す言う事もなく最後まで聞いてくれた。話終えると、光が腕を組みながら一言言い放つ。
「タイガは男だから悩んでんの?」
その問いに軽く頷き答える。
「まぁー…。だって、同じ男だしなぁ」
そのまま、短くなった煙草の煙をため息混じりに吐く。確かに引っ掛かりはそこなのだが、根本的に初めての事過ぎて対応しきれていないと言うのが事実だ。
「女だろうが男だろうが俺は関係ないと思うけど、実際になってみないと助言しにきぃわー」
泰司は頭をポリポリ掻きながら後ろに手を付いた。
「あ、安心しろよ。俺ら、お前をキモイだとか一切思ってねぇから。」
「そうそう、俺らの仲じゃん。そんな簡単に壊れるようあ仲じゃねぇしな。」
「お、おう…。」
光に続いて良之助がそう言い、俺は半分心配に思っていた事をあっさり言われてほっとする。あぁやっぱりこいつら最高だわ。信じてはいたが若干の不安があったのは秘密だ。
そう思っていたら、行き成り良之助が思い立ったかのように立ち上がった。俺達はびっくりして良之助を見上げる。
「俺、良い事思いついちゃった〜!」
良之助は無邪気な目を更にキラキラと輝かせて言った。この目は子供が何か悪戯を閃かせた時の輝きだ。俺は一筋の汗を垂らす。嫌な予感しかしない…。
「その子、見に行こうぜ!」
ああ、やはり。
思い立ったらすぐ行動。乗り気じゃない俺を引きずり、乗り気満々な三人は遥が通う天文台付属高校へと向うのだった。
◇◆◇
「桐林ぃぃぃっ、いつになったら来るんだぁぁ!」
森先こと森先生が、お昼ご飯も程ほどに職員室で虎を待っていた。後でこってり絞られたのは言うまでもない。
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