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「……スー…」
「寝てる…」

深い寝息を漏らしながら、遥は寝入ってしまったようだ。
まさに、以前と同じパターン。

「はぁー。俺のムラムラどうすりゃいいの」

とりあえず、自身が落ち着くまで眠る遥と抱き合ったまま、ベンチに座っている事にした。
大きく息を吐いて、仕事の事を考えたりして気を紛らわす。そうでもしないと、こんなに密着した体から伝わる温もりにすぐ不埒な思考が回ってしまうのだ。

それからしばらく、遥を背中に抱えて公園を後にし、遥の住むマンションへと向かったのだっだ。

暗い深夜の道の中、街灯に照らされた虎と眠る遥だけが歩いていく。
時間的には、10分程の距離だったので直ぐにマンションの下へと辿り着いたのだが、そこで問題が発生した。
いくら呼んでも、…遥が起きない。
完全なセキュリティーにどうする事も出来ず、マンションの入り口前に俺は立ち尽くしてしまったのだ。俺は生まれてこの方一軒家の住人だ、マンションの仕様なんてまったく知らない。
遥に起きてもらうしか手段がないのだ。

「遥、着いたぞ。起きろ、入り口開けてくれ」
「……スゥー…」

駄目だこりゃ…。
ガラス越しに見えるロビーの時計を覗くと、既に時刻は深夜2時を回っている。

「しょうがないか…」

そう呟くと、マンションに背を向け遥を抱えたまま、また歩き出して行った──。



(18/30p)
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