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「前にもたいがさんが他の人となかよくしてるの見て、それを思い出して、本当は嫌なのに、ぼくのたいがさんなのに」
やだやだ、絶対離れない。
…なんて、耳元で囁くんだから、俺はたまったもんじゃない。
だが、ここは外だし、そんな大きな公園でもなければ、周囲を取り囲む雑木林がある訳でもない。人が来れば、もろに嫌でも見られてしまう。
だが、そんな俺の気持ちを余所に、遥は身を少し離すと唇を重ねてきたのだ。
俺は目を見開くしかなった。
不慣れなキスで、必死に俺の唇に触れていく。
あぁ、思い出した…。
以前にダライ島で一度飲んだ時も、遥は大胆になっていたのだ。今は、前回以上に摂取度が高い。しかも、精神的な面もある。遥の思考を狂わせるには充分過ぎたのだ。
「ん…たいがさ…すきぃ」
離れる息の合間に、遥は言葉を漏らす。ぐっと体を密着させられ、仕舞には熱い熱い包容。
やばいって!
俺は反応し出した欲望を、遥から離したかったが、頑として身を離そうとしない遥が許さない。
むくむくと主張を始める自身が、妙に恥ずかしくて、遥から離れようと顔を背けた。
そんな俺を、遥は悲しそうな瞳で見つめてくる。
「あ、いや。この体勢キツいかなぁーて…」
だから降りて、と伝える間もなく、またもやキスを迫られる。
嫌な訳がないから、思わず喜んで唇を許してしまうが、硬くなる主張が気になって、変に腰を浮かしてしまう。キスをする度に揺れる遥の下半身が擦れて、異様な刺激になってしまうのだ。嬉しいんだけど、嬉しいんだけども…!
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