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おかえりー、と手を振る茜からすぐ遥に視線を向けると、何だか様子がおかしい事に気付く。
「遥?」
俺の声に反応して顔を上げた遥だが、頬が先程とは打って変わって赤く染まり、目が虚ろだ。
遥の両手に握られた空のグラスを見て、すぐさま状況を把握する。
「何飲ましたんだ?」
「ん?ほんの酒よー、度もそんなにキツくないけど」
そうは言うが、これは明らか酔っている。遥の横に腰を落とし、再度声をかけた。
「たいがさん、おかえりなさい。」
呂律はまだしっかりしているが、おかしい程ににこにこしている遥。いや、可愛いけども、それよりも大丈夫なのかと心配になる。
「遥、酒慣れしてんのか?」
「いえーこれは初めて飲みました」
「気分悪くない?」
「なんかほわほわしてますー」
あぁ、完璧酔ってる。
隣に茜が付いてる時点で、きっとこいつが勧めたのだろう。
どいて、と茜を遥の横からずらし、遥の横に座り直した。
「水飲むか?」
「んーはいー」
店員を呼びお冷やを頼み、そっと支えるように背中に手を回す。
そんな俺を見て、茜が笑いながら言ってきた。
「保護者みたぁーい」
うるっせぇよ。誰のせいだよ。
返すのもめんどくさく、にこにこと笑う遥の看病に回る。しかし、どうもその様子を見て茜は面白くないようだ。
「なんで飲ましたんだ?」
「だってー、タイガくんの事何にも教えてくれないんだもん。飲んだらはいてくれるかなぁって、」
悪びれる様子もなく言う茜に、眉をしかめる。
「俺に聞けばいいだろ」
「さっき聞いたじゃん。でも教えてくれないしぃ」
あーもう…っ
女ってこんなにめんどくさかったか?いや、こいつがだろうか。
とにかく、かなり俺の機嫌は損なわれた事に変わりはない。他のメンバーは、飲みに飲んでこちらに干渉しようとしないし。茜は、俺の不機嫌さにも気付かず袖を引っ張りながら、何かまた質問してきている。
遥は至ってにこにこ。
なんなんだ、この状況…。
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