「えーっと。今日は、茜の送迎会です。まぁみんな好きなだけ飲め。終わり」

え、それだけかよ。

「えー!もっとなんかないの〜!?私の送迎会なのにぃ!」

隣にいた臭いキャバ女が言った。

お前が茜かよ。

…って事は、俺を連れてこいと言った奴ね…。

「いいじゃん!飲めるんだからさ〜」

ガタイ男の横のギャル男が、既に半分ないグラスを片手にゲラゲラと笑った。
黒髪の大人しそうな女も、クスクスとカクテルを片手に笑っている。

キャバ女にガタイ男、ギャル男に黒髪女。そして、遥。

どんなアンバランスだ。
と、思いながらも、しっかりとビールを一気に飲み干した。
仕事後は、格別美味い。

「あ、たいがさん、生頼みますか?」

遥は店員を呼ぶと、新たに飲み物をオーダーする。
少しして、肉や野菜と、追加した飲み物がテーブルに並んだ。
黒髪女がせっせと準備するのを見ていたら、遥がチョンチョンと指を突っついてきた。

「紹介、していいですか?」

紹介…。
「僕の恋人です」ってか?
まぁ、そんな訳ないが、なんだか軽く嬉しくなる。
目でサインを送ると、遥は騒ぐみんなの間に声を挟んだ。

「あの、こちら虎さん、です。」

友達です、とも言わない辺り遥の配慮だろう。
みんなの視線が、俺に一気に注がれる。


(9/30p)
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