※季節外れもいいとこですが真夏の話











カーテンがひらひらとはためいて、曲線の隙間から覗く空は爽やかな青だった。空気だけがじっとりと暑苦しい。網戸をすり抜けて届く蝉の声もどこか遠くに聞こえる。何だってこんな真っ昼間から、わざわざ体温を上げるような行為に勤しんでいるのだ、俺達は。そう考えるのも怠いほど暑くて熱くて、どうしようもなかった。

「っは……あ、ぅ…!」
無意識に豪炎寺の肩へと爪をたてていた。どくんと大きく脈打つ感覚が下肢からした後、風丸の身体が強張る。大きな溜息とともに脱力する全身。豪炎寺の欲を体内で受け止めた風丸の表情は、どこか恍惚としていた。「…あっつ、」腕で目元を押さえながら、熱い息を吐き出す。豪炎寺は謝罪のかわりに小さく口づけを落とした。すると風丸が腕をどかして豪炎寺を見上げる。普段なら恥ずかしがってあまり目を合わせないあの風丸が、だ。珍しくも愛しくて、豪炎寺は風丸の頬を優しく撫でた。
「……汗ひどいな。豪炎寺も、俺も」
「そりゃあな」
「べたべただ、もう……はあ…」
「…そりゃあ、な」
ニュアンスがエロい!そんな小言を言って風丸は頬を赤らめた。しっとりと濡れる肌も上気する頬も快楽に震える身体も、風丸のすべてが豪炎寺の欲を燃え上がらせる。まだ繋がったままの結合部、内部に埋められたそれがふたたび硬度をもちはじめた。すっかり敏感になっている風丸はその瞬間に喉を引き攣らせて、高く鳴いた。そして慌てふためく。
「えっ、ちょっ…と、豪炎寺!?」
「……悪い、風丸」
微かに抵抗を始めた風丸に有無を言わせぬ勢いで、豪炎寺は強引に唇を奪う。徐々に弛緩していく腕を取り、指を絡ませて、腰を緩く動かした。
「ん、んッ…! や、ら、ごうえん、…!」
「止められない」
「…っ、は! とうとう、頭まで茹だった、か…っ、ぅあ!」
あついって、と口先では抵抗の止めない風丸が可愛くて、そしてやはり身体は正直で。性器が質量を増すだけで蠢く風丸の内部は悦んでいるようにしか思えず、豪炎寺は欲求の赴くままに、再び律動を始める。
「は、っあぁ! なん、で…っ、…!」
与えられる快感を逃したいのか無意識に強請っているのか、風丸は瞳をぎゅうと閉じ、豪炎寺の首に腕を回して縋り付く。汗でべたつく肌に嫌悪感を抱く余裕など無く、豪炎寺も風丸の身体を掻き抱いた。

再び窓から風が入ってくる。大きく靡くカーテンの向こうから強い日差しが降り注ぐ。互いのこめかみから、首筋から、内腿から、汗が伝う。ああ、確かに、頭まで茹だってしまったのかもしれない。自嘲気味に呟く豪炎寺の声は、すでに快感に溺れた風丸には届いていないようだった。



微熱障害

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(title:馬鹿の生まれ変わり)

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