※リバ注意











身振りに合わせて揺れる珊瑚色を見て、弧を描く瞼、ラインのはっきりした目を見て、様々な言葉が淀みなく溢れる、楽しそうに話す唇を見て。彼に対する意識が、惹かれているなんて生温いものではないと自覚した。言うなれば、引きずり込まれている。溺れている。もう後戻りできないところまで、彼のことが好きで好きでどうしようもなくなっていた。綱海さん。話の切れ間に名前を呼べば、「おう、なんだ」とその白い歯を見せて笑ってくれる。ああダメだ。ちょっと抑えられそうに、無い。
「綱海さん」
「どした立向居、っ、わ!」
ジャージの襟元を掴んで軽く引き寄せて、思いきって顔を近付けた。唇同士が柔らかくぶつかる。微かに濡れる感触が気持ち良くて、そのままゆるく口を開いてみる。舌を絡めて、しばらく綱海さんとのキスを楽しんだ。何度か唇を離して、その度に角度を変えて。ふと目を開けてみると、唇を重ね合わせた瞬間には驚きで見開かれていた綱海さんの瞳は、今はぎゅうと閉じられていた。うわ、やばい。震える長い睫毛をじっと眺めていると、綱海さんが「ぶっはあ!」と勢いよく呼吸をした。と思ったら、無理矢理俺の体を剥がしてしまった。油断した。…ていうか綱海さん、色気なさすぎです、その声は。
「…やってくれたじゃねえか立向居…っ、お返しだっ!」
───なんて呆れていたら、息は上がっているけれどぎらぎらと瞳を光らせた綱海さんに、両頬を掴まれた。綱海さんの言葉の意味も含めて、まさか、と慌てるよりも先に、
「! ん、んー!?」
覆いかぶさるような勢いで、獰猛すぎるキスを頂きました。
座ったままだったから、反り返る背中が痛い。でもそんなもの中和、むしろ塗り潰してしまうくらいに、綱海さんがくれるキスは心地好い。体格差がまざまざと分かってしまうから少し複雑だったけれど、素直に背中へ手を回すことにした。綱海さんの背中は大きくて温かい。触れているだけで、こんなにも、安心する。気分がふわふわと浮かんでいくような、ぼんやりとした感じになっていたので、綱海さんに全て委ねていたけれど、重ねられた唇はやがて離されてしまう。ふたりして少し荒くなった息を整えていると、綱海さんがニッと悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「気持ち良かったろ?」
……ああ、その笑顔にどれだけの破壊力があるか、本人は知らないんだろうな。
とろんとしていた脳が、一気に覚醒する。
「……でも俺のほうが上手いですよ」
「なんだとー!?」
そんな減らず口にはもう一回だ!
なんて嬉しそうに言って、俺が抵抗する間もなく、そのまま床の上に押し倒されてしまった。綱海さんはぺろりと唇を一舐めして、今にも俺に襲いかかろうとしている。だから今度は、また。腕を伸ばして綱海さんの頬を包んで、ぐいと引き寄せる。次はもっと気持ち良いキスを。それこそ、仕返しなんて考えられないくらいに。
俺があなたに夢中なぶんだけ、俺にも夢中になってくれませんか。


純粋な愛を喰らう
(そのための術を知っている)

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title:Aコース

二万打ありがとうございました

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