好きだ、と言葉にしたら、価値が薄れる気がした。けれど言いたい、この感情を伝えたい、と思うと、口よりも先に体が動いてしまっていた。その細い身体を腕の中へ収めながら、「風丸、好きだ」と結局はその言葉を確かめるように呟いた。けれどその瞬間、何か違和感がして、よく咀嚼してみる。すきだ。すき、だ。何だろうか。己に問い掛けてみて感じたのは、物足りなさだった。何が足りていないのだろう。俺がこう考えている間、風丸も俺の言葉を受け止めていて、照れたようにはにかんでいる。その表情にも、すこし朱に染まった頬にも、愛しさが込み上げてきて、思わず頬が緩んでしまった。そして、ああそうか、と理解する。
「違うな」
「? …なにが?」
やはり緩んだままの頬を怪しんでか、首を傾げてこちらを見上げる風丸がやはり愛しくて可愛くて、半開きの唇にキスをした。すぐに離すと、驚きで固まってしまっている。ふ、と小さく吹き出すと、羞恥が込み上げてきたらしい風丸が顔を真っ赤に染め上げたので、いい加減慣れてくれ、と頬を撫でる。そのまま耳元へ唇を寄せて、目一杯の優しさを込めて囁いた。




「愛してるんだ」 /100201


こんなセリフ豪炎寺にしか言わせられない…

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