ちゅ、と可愛らしい音をたてて、唇が離れていく。ただ触れるだけのキスでもうっとりと瞳を蕩けさせる風丸は、自分を本当に好いてくれているのだと豪炎寺を安心させる。
「おれ、豪炎寺になら殺されてもいい」
「………風丸?」
「それくらい好きだ…」

体を重ねた直後だったのもあり、眠気を帯びてきているのだろう。普段は言わないような台詞も、甘えるように擦り寄る額も、数時間寝て目が覚めれば本人は忘れてしまっているかもしれない。それは何だか、勿体ないような気がした。
「そうか、」
風丸の枕と化していた片腕で、その細い肩を引き寄せた。再び唇を奪って、顔の向きを変え、より深いものにしていく。
「ん…――っ、ふ」
差し入れた舌で、風丸の口内を蹂躙する。応えるように恐る恐る動き出す風丸の舌がぎこちなくて、半ば無理矢理吸い寄せた。歯列をなぞり、上顎を撫で。思うさま楽しんでいると、時折開く隙間から酸素を求めて息が漏れる。眉は苦しげに寄せられ、風丸のちいさな拳が豪炎寺の胸板を押して、ささやかな抵抗を見せた。そろそろか、とタイミングを計り口を離すと、間近にある風丸の顔は、暗闇であっても真っ赤に染まっているのが分かった。
「……、苦しい、よ…豪炎寺、」
「息、止めさせてやろうと思って」
「、え」
風丸の少しあがった呼吸を感じながら、今度は額に軽くキスをした。目を丸くする様子を笑いつつ、すべて冗談だと分かっているから、そんな会話をする。
「キスじゃ殺せなかったな」
「……っ、…馬鹿」
どうやら、眠気はすっかり覚めてしまったらしい。再び上昇してしまった体の熱も冷まそうと、豪炎寺はそういう意図をもって風丸に触れる。抵抗する気配はなかったので、今度は愛しさを込めて、風丸にキスをした。




キスで人は殺せますか /100129
(title:ギルティ

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