彼は、今のところ一番新しい仲間であるらしい。この沖縄の地で生まれ育った、サッカーすら初心者の彼の、褐色の肌がどこか眩しく映る。 「きみが、僕を知らなくてよかった」 「え、なんで」 「みんな僕を受け入れてくれたようだけど。やっぱり、少し、怖いんだ」 彼らは、過ちを犯していた僕を知っているから。たとえ雷門中ではなくとも、サッカーに携わっていた者なら世宇子中の名前くらいは知っているはずだ。フットボールフロンティアというのは、そういう規模の大会である。自意識過剰かもしれないが、それだけのことをしたのだという自覚はあった。彼らに酷い仕打ちをした僕を、心の底から信頼してくれたとは思えなかったし、実際そうなのだろう。練習中のぎこちなさなどは、お互いに否定できない。 「きみはそうじゃないから、ね。綱海くん」 サッカーを始めたばかりだという彼は、僕に何の先入観もなく接してくれる。それが、ただただありがたかったのだ。 頬をこりこりと掻きながら、「よく分かんねーけどよ」と困った顔をする。年上のしかも同性に向かって失礼を承知で、かわいい、と思ってしまった。目線より少し高いところにある彼の頬に触れてみたくなって、そっと手を伸ばす。少し驚いた表情で彼はそれを受け入れた。体温の高い肌が、大人びた彼とは対照的で、やはりかわいいと思う。 「あまり無防備だと、欲しくなってしまうよ?」 見開かれた黒い瞳もまた。ふふ、と目を細めて笑いかければ、やっぱお前分かんねえよ、と少しふて腐れたような声がする。言ってるそばから、とは心の中で思うだけにして、もっと触れたいと思ってしまう前に手を離すことにした。(分からないままでいいんだ、きみは) 不透明な想い /100116 (title:DOGOD69) |