「ねえ、アツヤ?」

あのとき放り投げたタオルを握り締める。いつだって一緒だった、それこそ一心同体だった、分身が宿るその柔らかい布を。
語りかければ応じてくれた。意識を心の奥まで沈めて聞こえる、何だよ、とぶっきらぼうに返事をするその声は、今はもう聞こえない。

(寂しい、なんて、わがままかな)

そのタオルを首に巻いてプレーすることは、きっともう無い。
ぎゅうと胸を締め付ける、どこか苦しい思いを封じ込める。答えを見つけられた今、これが僕たちのベストな形なんだ、ということは分かっている。それでもまだ抑えられない悲しみは、涙となって溢れ出た。


「───ありがとう、アツヤ」

それと、ごめんね。

涙ごと覆ってほしくて、タオルに顔を押しつける。その柔らかな感触は、アツヤが頬を撫でてくれる時とひどく似ていた、気がした。






歩いてゆくよ、ただ信じた道を /091211
(title:zappy)

アニメ61話見て突発的に

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