厳重にその身を守っていた鎧は、全て外されていた。軽装になったガーランドは、同じく軽装のウォーリアの髪を撫でている。光の降り注ぐ居城、二人だけの場所。ただただ穏やかな時間が流れていく。

ベッドに俯せて寝そべっていたウォーリアが、ふと目線だけを上げた。ウォーリアの側で胡座をかきながら、撫でる髪に目をやっていたガーランドも、それに自然と気付く。かちりと合った視線をあえて外すかのように、ウォーリアが微かに身動ぎした。その腕が伸ばされて、髪に触れていない方のガーランドの手をとると、それを愛おしむように優しく撫でた。

「どうした…?」
「、ん」

それまでただ、ウォーリアの行動を見守っていたガーランドが口を開くと、ウォーリアはその銀に光る睫毛を震わせる。ふわり、と微笑んで、ガーランドの掌へ頬を寄せた。
互いの体温を感じる。ガーランドもまた、ウォーリアの頬を包み込むように撫でると、珍しくウォーリアから擦り寄ってくる。眠気もあるのだろう、目を閉じつつウォーリアは、気怠げに体の向きを変えた。今度は仰向けになった彼の前髪を、ガーランドの指先が撫でつける。

「ガーランドの手が…温かくて、」
「そうか」
「…気持ちいい、のだ」

珍しいこともあるものだ。こんなに素直なウォーリアは、ガーランドでも滅多に見られない。
本格的にうとうととし始めたウォーリアに、寝ていい、と一言だけ告げる。返事の代わりに、体から力を抜いたようだった。きっとすぐ寝息が聞こえてくるだろう。
そんなウォーリアを眺めて、ガーランドの心も満たされていく。その姿に誘われたのか、ガーランドにもやがて睡魔が訪れた。額に軽いキスを落としてから、ウォーリアの体を抱き込むようにガーランドも横になった。

二人で空間を共有し、互いがそこにいる、それだけ。
これを幸せと呼ぶのだろうか、とガーランドは思う。密かにそんな感情に浸りながら、ガーランドも微睡みに身を任せた。





幸せの基本 /091202
(title:zappy)

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