綱海さあん、と甘えてくる声はいくらか低くなっている気がする。後ろから抱き着かれ密着した体は、背中ごしでも分かるほどしっかりとしている。太いわけではない、しなやかに鍛えられた無駄のない胴体だ。首を捻ってみる。いつも見下ろしていたあどけない表情は目線よりも高い位置にあり、少し大人びて見える。先輩と後輩という年齢の差は月日で変わるものではないから、犬みたいだ、と思う印象は変わらないけれど。
「でかくなっちまったなあ、立向居……」

仔犬というよりは大型犬だ、と綱海は笑った。

26.大型犬
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