髪を掴まれる感触がして、目線を上げる。情けない顔をした晴矢と目が合った。その瞬間、口の中のものが微かに大きくなった気がして、笑いがこみあげる。滑稽だ。とても。
「ッなに…笑ってんだ、よっ」
掴んだ髪を引っ張られる。痛い。軽い仕返しのつもりで、口を窄めて含んだものを吸い上げた。耳元に触れている晴矢の両腿がびくびくと震えて、甲高い声が頭上から降ってくる。その手はもう頭に添えられているだけで、髪なんて掴んでいない。最初からそうしていればいいのに。そのまま頭を上下させて、分かりやすい刺激を送ってやれば、分かりやすい反応が返ってくる。私が別段うまいというつもりはない、晴矢が快楽に弱すぎるだけだ。
「ヒッ、や、風介、マジでもうやめろ、って…!」
「……嘘つかないほうがいいよ、晴矢」
「! っひぁ、あ、ぁああ……!」
ずるずる、と大きく音が鳴る。啣えた晴矢の性器が大きく脈うつ。頭上で晴矢が息を詰めた気配がした、ので、私はすかさず口を放した。そのまま晴矢の表情を窺うと、信じられないと言いたいのが顔に書いてあるようだった。半開きの唇は震え、肌は彼の髪と程近く真っ赤になっていた。背筋がぞくぞくするのを感じる。堪らない、本当に、君はこういう表情をしてくれるから、堪らないんだ。
「ッな、んで、」
「あれだけ嫌がっていたじゃないか」
やめてもらえて嬉しいだろう?解放されなかった熱を抱え込んでぱんぱんに膨れ上がった性器を、突き出した舌で舐め上げながら言うと、晴矢の瞳が潤んだ。「ぁ、ふ、風介、」逡巡しているようだった。私が何を求めているかなんて、もう彼も分かっているはずだ。それに応えないと解放されない、けれどそのためにしなくてはならないことは、晴矢にとって堪えがたい屈辱なのだ。
「欲しそうな顔してるよ、晴矢」
「んッ…ぁ、あ!」
きっと今の晴矢なら、どんな微かな刺激でも達してしまうだろう。それでは面白くないので、そうさせないために後孔へと手を伸ばす。指先でなぞると晴矢の身体が跳ねて、目元から涙が散った。ぐしゃぐしゃの顔がこちらを見る。ふらふらと、両腕が伸ばされる。可笑しくて、憐れで、晴矢の足の間にあった私の身体を今度は晴矢の上体側へ。首に手が回される。こうなれば行き先はひとつだ。晴矢の耳元で、意識的に声を低くして、囁いた。

「欲しがってご覧よ、晴矢」


21.いじめっ子
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