罪悪感なんてありすぎるくらいだ。後悔もしているし反省もしている。けれど、こちらに向けてくれている好意を踏みにじるようなことはできなかった。恋慕と勘違いしているその感情を正してやらねばならぬ、それも教師としての勤めだ、と判断したのが、そもそもの誤りだったのだろう。ただでさえ道を踏み外しそうで、認めないようにしていた感情に、こちらが従ってしまった形になった。自らへの言い訳など枷にはならない。結果、より相手を求めていたのはこちらのほうだったのかもしれない。もう後戻りはできなくなってしまったのだから。罪悪感に苛まれながらも、今の関係に悦びを感じているのも事実なのだから。
「なあ、豪炎寺」
「、はい」
今から事に及ぼうとしているこの状態で、待ったをかけるような行為は無粋だったかもしれない。だがやはり、完全に何もかも忘れることはできなかった。ほんの一瞬だけ、理性に己のやろうとしていることを確認させられる。
自分の言葉を待っている豪炎寺が愛しくて、申し訳なくなって、特に何を言うでもなく、目の前の子どもを強く抱きしめた。
「……、監督…?」
耳元で呼んで、豪炎寺も二階堂の肩に手を回し力を込める。
理性の瓦解は容易い。灯った欲は簡単には消えない。更に強く、腕に力を込めれば、「か、かんとく、」と若干困ったような声を出す。その声にぞくぞくする。
監督、と呼ばれることが、己の立場を確認させる呼び方が、この行為の罪深さを改めて感じさせる。
やはり、全ての引き金はいつだって豪炎寺が握っているのだった。情欲をかきたてるのも、背徳を思い出させるのも。全て、全て。



20.先生と生徒
:110322


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