力をすべて失ったとき、死を覚悟した。そして世界の崩壊を憂えた。私の力を、世界の秩序を守るために持てるものすべてを尽くしてくれた戦士たちに、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。成す術もなく、消滅を受け入れ、次に意識が覚醒したとき、そのことに驚く。消滅したはずの私が、なぜ再び世界に存在しているのか───。
そのとき聞こえた声は、相反する神のものだった。
「死など許されぬ……ということ、なのだろうな」
徐々にはっきりとしてくる己の感覚と記憶によって、自身が神竜の浄化を受けたこと、争いは終わっていないこと、あらゆることを理解する。
「これも運命よ」
くつくつと笑う混沌の神と、再び戦わなくてはならない。死ぬことなど許されない。これは、神と神の争いなのだ。

神竜かもしくは世界の戯れかも知らぬ。永劫繰り返される争いが、死をもってしても終着しないとすれば、───この争いの果てにもたらされるものは、一体何なのであろう。

18.死すらも二人を別てない。
:110320


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