※豪風前提の、モブ女子→風丸



「ごめん。好きなヤツいるんだ」
気持ちは嬉しいよ、ありがとう。彼のような人にのみ許されている、といった感じのありがちな台詞で、私は呆気なくフラれてしまった。外見は女の子のように美形なのに性格は男らしくて、さりげない気遣いができて、成績もそこそこで運動神経抜群。風丸一郎太というクラスメイトは、他人から人気を集めるあらゆる要素を持ち合わせた少年だった。私もそんな彼に惹かれたひとりであった。その場所から別れる時にも、でもこれからもよろしくな、と優しく微笑んでくれるものだから、ああやっぱり素敵だ、と思わざるを得なかった。
さて。確かに彼へ恋心を抱いていたのだから、フラれてショックなのだけれど、それよりも気になったのは彼自身の言葉だった。「好きなヤツいるんだ」? 完璧とも言える彼を魅了する人物とは、一体何者なのか。そんな好奇心に完全にとりつかれてしまった。
サッカー部のマネージャー、というのが最初に浮かんだけれど、違うだろう、となんとなくカンが告げていた。ので、除外。同じクラスの子だろうか、違うクラスの子だろうか。まさか先輩か後輩?まさかのまさかで他校生?本性は遊び人でオトナの女性にしか興味ないとか?───自分で考えていて、いや、無いな、と思った。彼は裏表のあるタイプではない、間違いなく。恐らく私以外からも何度もされているであろう、こういった告白から逃れるための単なる口実かもしれない、とも思ったが、嘘を簡単に口にする人とは益々考えられない。ましてや優しい彼だ、他人の感情、異性の恋心を無下にする行為はまずしない、そんな確信があった。だからこそ、気になって仕方がなかった。
少しだけ調べてみようか。
彼は顔が広いし、あらゆる人から信頼もされているけれど、一際仲が良い人物に心当たりがあった。幼なじみだというサッカー部のキャプテンもそうだけれど、何か情報がありそうだと思うのは、エースストライカーである彼のほう。──豪炎寺くん、だったかしら。以前、廊下で談笑しているのを目撃した時、どこか他の友人との雰囲気の差を感じたのだ。具体的にそれが何かは自分でもわかっていないが。
豪炎寺くんもかなり異性に人気があるようだから、そういった理解と認識もありそうだし、互いの恋愛相談なんかをしている可能性もなくはない。確かめてみる価値はあるように思う。明日にでも聞いてみよう。呼び出す手順、質問する手順を考えていていると、自然と胸がわくわくする。どんな答えが聞けるか、楽しみだ。

15.告白
:110316


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