※体売ってるとかそんな雰囲気なのでご注意





降り止まない雨が鬱陶しい。ただでさえ黴臭い畳の部屋が、いっそう嫌な空間になる。混ざるのは、生々しい体液のにおいだ。この部屋に来るときは、汗であったり涎であったり精液であったり、あらゆる水分に濡れて体中がべたべたになるのが常であった。飽和状態なのではないかと思わせる部屋の湿度が、肌に纏わり付いてよけい鬱陶しかった。
(くそ、早く終わっちまえ)
俯せにさせられた身体、床につけられた耳はあらゆる音を反響させて拾う。その中に、一定周期で聞こえる音があり、なんだ、と思う。心音とも異なる、雨音とも──そう考えて、ぴんときた。古い屋根から滴り落ちる、雨垂れの音だ。雨は止んだのだろうか、身体や衣服が床に擦られる音が圧倒的に大きくてよくわからない。そこではたと気付く、雨垂れに重なるほどのゆったりと間隔のあいたテンポでもうひとつ、どこかへ落ちる滴の音があった。時折ぶれるその変則的な間隔は、後孔に埋め込まれた性器が出し入れされる時とよく重なった。
(ああ、)
焦らされている。とすぐ分かった。
緩慢に出し入れされる結合部も、触れられない己の性器も、そこから体液が滴り落ちているという自覚も、気にならないほどどうでもよかったし、寧ろどうでもいいと感じていることにも気付いていなかった。その程度の行為だった。
早く終わっちまえ。二度目の悪態をついて、わざと後ろを締め付ける。ぱたた、と腹の中やら上やらに精液が撒き散らされる音が聞こえる頃、雨垂れの音は聞こえなくなっていた。

14.雨だれ
:110228


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