(イナイレ/豪風) 「…………何がしたいんだ、風丸」 普段よりいくらか高い位置に見える風丸の表情は、さながら幼い子供のそれであった。半開きの口元が妙に可愛らしくて、指先でつついてみる。すると風丸はむっとした目線をこちらに向ける。「やっとこっち見たな」 「だって。豪炎寺の髪意外とやわらかくて」 ぐしゃぐしゃっ、と音が聞こえるくらいに豪快に手を動かされる。前髪(常に上にあげているのであってないようなものだが)が束になってぱらぱらと落ちてきた。もうどうでもいいか、とさえ思えてくる、けれどされるがままなのは癪だ。 「かぜま、」 「あー何だこれほんと落ち着く!悪い豪炎寺、もう少しだけ!」 目の前がふっと暗くなる。眼前いっぱいに広がるのは風丸が着ていたシャツの柄。後頭部にまわる腕、そして頭頂部に乗せられたのは、風丸の頬か。 「反則だろー…」 頭を抱き込まれたと豪炎寺の脳が認識したころ、上の方から風丸の恍惚とした声が聞こえた。 ……反則なのはお前だ。 01.撫でる楽しみ :110119 |