(イナイレ/豪炎寺×風丸)

「きちんと水分摂らないからだ。無理したって何にもならないだろ」
お前はそういうところ、きちんとできる奴だろ。
豪炎寺の声をぼんやりと聞く。暑い。頭が重い、ぐらぐらする。なんだこれ。俺どうなったんだ?頬に当たる温かな体温。ゆったりと丸められた体。膝を誰かに抱えられている感触。目を開けて顔をあげると、豪炎寺の肩口とうなじが順に目に入る。思考が微かに、徐々に、正常になってゆく。───俺は今、豪炎寺に負ぶさっている、豪炎寺が俺を負ぶってくれている、のか。

「ごうえんじ、おれ、」
「暑さにやられたんだろう。監督が保健室で休めと」
ごめん。再び瞼を閉じた風丸が、極めて小さな声で告げる。やはり頭はろくに働かず、手さえ動かすのが億劫だった。「何も気にするな。大丈夫だから。しっかり休め」豪炎寺の声が風丸をまどろみへと誘う。頭が痛くとも、体が怠くとも、一番近くに豪炎寺の体温があるならそれだけで気分が楽になった。豪炎寺の歩くスピードはひどく緩やかで、それにあわせて揺れる体がゆりかごのように感じられる。ふ、と風丸は笑みを零した。夢を見ている気分だった。心配してくれているであろうチームメイトと、豪炎寺に、心の中で詫びる。体調を崩したはずなのに、不思議な感覚だった。豪炎寺の背中は温かなゆりかごで、心音は安らかな子守唄だったのだ。(あつくて、ふわふわして、子供のころに戻って、そして空を飛んでるみたいだ。)

27.夢見心地
:110711


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