ふわふわ、という擬音がこれほどに合う人間が他にいるだろうか。
「ふふ、バッツ、くすぐったい」
ウェーブのきいた亜麻色に指を絡めて。バッツはティナの髪に夢中になっている。飽きないの?とティナは問うが、彼女もまた楽しげであった。バッツはそんな問い掛けへの反応もそこそこに、指にくるくると巻き付けてみたり、縛り方を変えてみたりと、相変わらずである。ふと、ティナはいいなあ、とバッツが漏らした。
「きれいだな、ティナ」
「そう、かな? ありがとう、バッツ」
照れてはにかむ表情が愛らしくて、ティナの頭を片手で抱き込んだ。鼻先にある髪が揺れて、仄かに良い香りが漂ってくる。顔は見えなかったけれど、あわあわと狼狽しているのが見てとれた。バッツ、と名前を呼ぶのが切なげで、もっと呼んでほしい、とも思った。

「おれ、飢えてんだ。こういうのに」
少しだけ自嘲するように、けれど冗談にも聞こえるように計算して呟く。するとティナの体が微かだが揺らいで、腕を動かしたのが目の隅に映った。なあ、ティナ、ともう一度呼べば、ティナはそっとバッツの背中に手を回す。
ああ、おれはティナのこういうところが、たまらなく好きなのだ。母親のような優しさに触れて、たまらず両腕で強くティナを抱きしめた。


ああシュガーに抱かれたい
(title:方法論)

2010/05/05



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