*大学生設定




たまたま通りかかったかわいいお店で、たまたま目に入った、淡い水色のかわいいふわふわのスカート。控えめに光る金属の小さな星が散りばめられている。雲のない青空に星が降っているような、不思議な光景が見える。引き寄せられるようにレジへと持って行っていた。表示された数字は予算のそれよりもすこし大きかったけれどそんなの全然気にならなくて、ふわふわの気持ちをお持ち帰りした。

*:.。☆。.:*

月曜の2限は友だちと違う講義をとってるから、ぼっちで受けなくちゃいけない。しかもこの講義はちゃらい感じの人が多いから、毎回講義はざわついてる。居心地が悪い。
講義が始まる5分前に教室に入ると、既に目立つ人たちが教室の空気を占領していた。そっと端の方に腰を掛けて、指定の薄い教科書と筆箱を用意する。
暫くすると、目立つグループの男の子たちが一斉に「ミヤ!」と声を上げた。開始時間ギリギリに扉を開けて入ってきたのは、工学部の赤い髪のちょっと有名な男の子、待宮くん。
話したこともない、学部も違う。そんなわたしと待宮くんの接点は、この月曜の2限だけ。言うまでもなく、待宮くんはわたしを認識しているはずがない。でも彼は目に入るから、この講義をとってる誰もが彼を知ってる、と思う。

通路側に座っていたから、待宮くんが横を通る。目が合わないように目線を下に遣っているのに、待宮くんはあろうことかわたしの真横で立ち止まり、更には此方をじぃっと見ている。
こ、これはどうすればいいんだろう…。わたしが声をかけるべき?それとも気付かないふりしてた方がいい?微動だにせず脳内会議を暫しの間繰り広げていると、「のお」と明るい声が真横であがり、そこで漸く待宮くんを見上げる。こんなに間近で彼を見るのは初めてだ。

「それ、かわええの」
「…えっ?」
「そのスカート」

人当たりのよさそうな円やかな笑顔を湛えて、わたしに話しかける待宮くん。まさか話しかけられるなんて…。

「ありがと」

頑張って返した声はぎりぎり聞こえたかな、ってくらいの声量しか出なかった。すると、恐らく聞こえたであろう待宮くんは、わたしのスカートの端を優しく掴み、星のひとつを撫でた。え?という代わりに疑問を投げかける視線を送ると、再びさっきと同じ優しい笑顔を見せる。

「ホシ、持っとるんやから、もっとシャンとせぇ」

そう言って星を手放した待宮くんは、何事もなかったかのように友達のもとへ歩いていく。始業のチャイムがやたらと遠くから聞こえた気がした。

スカートを握りしめて、震える手を押さえつける。待宮くんから触れられた星が熱を持っていて、わたしの顔まで伝ってくる。
彼は私の名前も知らないし、きっと30分後にはわたしの顔も忘れてしまうんだろう。それでもバクバクと裂けそうなくらいに脈打つこの心臓は、どうしたらいいんだろう。


教えてよ お星さま




20151014
思ってるように書けませんな


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