第一節
 
んで、現在近侍の国広、燭台切、鶴丸、三日月を伴っての夜警なう。
騒ぎになるといけないので、洋装組(国広と燭台切)には着物着せてるし、髪色目立つ組(国広と鶴丸)も薄絹と笠被らせてる。

「やっべぇ冬の京都なめてた」

つーか冬が久々すぎて辛い。
これじゃ襟巻出してくれた薬研にはホント頭が上がんないな。
ハァーと両手に息を吹きかけケタケタと笑う審神者、雅は首元を群青の襟巻で覆い、墨染めの羽織りを羽織っている。

「本丸は雅が変えようとしない限り季節変わらないからな」
「よし、今度夏にしようか」
「そしたら暑いじゃん。今のままでよくない?」
「だーめ、感覚マヒる」

本丸の季節を変える為の術式を頭の中で組み上げながら、雪が降り持った路をサクサクと踏み進む。
時間帯は既に子の刻を過ぎ、間も無く丑三つ時に入る。
当然周囲に人通りはほぼ無く、あっても宿を取れなかったか家が無いかで野宿している人とか、ついさっきまで飲んでましたよーって体の浪士か、その位かな。
目を閉じて、感覚を研ぎ澄ませる。


・・・今のところ、“あいつ等”の気配は感じない。


気配を感じない?
そう、感じない・・・まだ奴らは動いていない。
感じないって事は、感じる事もあるかもしれない?


“ボクハイマ、センジョウニイルンダカラ”


帯と背中にそれぞれ二振りずつ携えた、今いる4人分の“本体”。
そして懐には、いつでも“本隊”を喚(よ)べるようにと、石切丸と山伏が短刀の皆と作ってくれたお札。

服の上からギュッと、札を握りしめていると、強く握りすぎて白く冷たくなったその手に黒い手が重ねられた。

「朧・・・」
「そう言えば、主自ら戦場に出るのは初めてだったか」
「・・・・・・うん」

 
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