第一節
「ぅえ!?足跡ついてってるのに姿が無いとか・・・おばけ!?」
「お化けなら足跡もつかない」
「そうだけどぉ!!」
答え:隠形の術です。
追いかけてくる2人が(と言うか2人のうちの一人が)妙にうるさいのが気になるが、振り返ってやる余裕は残念ながら無いのです。
もう一人は死体の処理の為に現場に残っているのか・・・先回りか。
身体能力には結構自信がある(当本丸最速の国広より早いドヤッ)が、雪に足を取られて思うような速さで走れないのが少し面倒だ。
刀四振りも持っているのは大した苦じゃないけど。(総重量約6kg)
その時、道の向こう側から誰かが走って来るのが見えた。
(タイミング最ッ悪!)
(全くだ!)
(どうする主、なんなら俺たち自分で走るが)
(僕の方が速いからダメッ!)
「左之さんそいつ捕まえて!!」
「そいつってどいつ!?」
「足跡あるでしょ!」
「何か走ってるのは分かったけどまさか幽霊じゃないだろうなぁ!?」
「幽霊なら足跡は無い」
(原田左之助新撰組十番隊隊長槍の名手!やべぇピンチ、と言いたいところだけど良い事思いついたぁ!!)
(((あ、コイツ等死んだ)))
思い立ったが吉日、ではないけれど。
悪戯を思いついた時の鶴丸のような笑顔を浮かべ、勢いをそのままに思いっきりジャンプした。
当然、姿が見えない新選組の者たちからすれば、居場所を知る為の唯一の手がかりである足跡が突然途絶えたようにしか見えない。
ワーワー騒ぎ出した彼らをよそに、術で少し滞空時間を長くした雅は左之と呼ばれた赤茶色の髪の男の懐に飛び込み、着物(と言っていいのか微妙な着物)の襟を掴むと・・・
「お"ッりゃあぁ!!!」
後から追ってきていた2人の新選組隊士めがけて思いっきり分投げた。
(僕、岩融をお姫様抱っこできるんだよ☆キラッ)
「「「うわああぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」」」
「よし」
ぐしゃ
(・・・とりあえず黙祷)
(・・・・・・そうだね)