※女主は出ないよ!




あの後、すべて解決したと思いきや情け容赦無く場を掻き乱した人類最強の女はさっさと愛車コブラで去ってしまい、その場は暫し、所謂カオスな空間と化した。

哀川潤(の依頼者と思われるおそらく子供)曰く、赤の王、周防尊のダモクレスの剣はあとひと月もしないうちに墜ちるという事。
しかし宙に浮いているのが不思議なほど崩れ落ちた赤銅色の鉄屑の塊を、癒せる存在がいるという事。

最後の最後で突如投下された爆弾は特大だが、その重要性は誰もが理解している。
ダモクレスの剣を癒し、王権の暴発を防ぐ力を持つという事は、つまり【王のヴァイスマン偏差に干渉する能力を持つ】という事。
とんでもないストレインが隠れていたものである。いやストレインではないのかもしれないが。
ちなみにすぐさまタンマツを起動した伏見によると、セプター4が管理するデータ上に該当する能力を持つストレインの記録は無かったとの事。そして何か知っていそうな白銀の王は意味深に微笑みながら「じゃあ僕はクロの様子見てくるねー」と白銀の力に包まれて飛んでいった。

「アイツが草薙たちの記憶を消したのは「知られたくないから」って事だろ。だったら俺の口からは言えねぇな」
「周防、気持ちは分からなくも無いですが時間が無いんですよ」
「いっそ普通に退位した方が手っ取り早いんやないかな・・・」

手がかりは哀川潤(の依頼者ry)が言っていた「ひーちゃん」というあだ名、そして唯一面識(記憶)がある周防の証言なのだが、上記の通りである。
本人曰く、恩ある相手の意思は尊重するとの事。日頃の傍若無人振りはどこに行った生きる都市伝説。
カウントダウンがひと月の半分を切り、時間が無く、吠舞羅(ダモクレスダウンについて迦具都事件の映像写真込みで色々叩き込まれた)もセプター4も関係なく情報収集に走り回る中、ダモクレスダウンの危機に晒されているはずの周防自身は普段と変わらないマイペースっぷりを発揮していた。


カランカラン
bar.HOMURAの来客を知らせる鈴が鳴る。

「いらっしゃい・・・?」
「・・・・・・」

立っていたのはフードを目深にかぶった細身の人物。目元が隠れている上、ダボッとしたパーカーの所為で性別は分からない。
barの店主である草薙には目もくれず、置物同然にソファに横になっている周防に躊躇なく歩み寄る。

「・・・・・・」


「・・・よう。三年ぶりか?」






突如鳴り響く警報とモニターに映し出された危険最大領域からかろうじて微動する程度のヴァイスマン偏差数値に、セプター4、特務隊の空気は一瞬で張り詰めた。

「伏見さん、〇△町上空で周防尊のダモクレスの剣の出現を確認しました」
「はあ!?」
「何やってんだよあの人」
「例の【ひーちゃん】が現れたのかもしれないっすよ」
「・・・日高、正解だ」
「どういう事だ、秋山」

「ちょうど今、草薙出雲から連絡が入りました。周防尊と一緒にいるフードかぶった人物、そいつが能力者です」
prev * next
( )
>> HOME * NOVEL
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -