※今回女主本人は登場しませんが、潤さんが声帯模写して女主のモノマネします。女主()の出番はそれだけです




悠然とした佇まいで真っ直ぐ歩き進む、真紅に彩られ圧巻の威圧感を纏った美女の姿に、自然とその場は静寂に包まれる。
そんな中、赤いドレスを身に纏った幼い少女は空気を気にすることなく真紅の美女に駆け寄った。

「あ、あの・・・」
「ん?どうした、お嬢ちゃん」
「お礼・・・ありがとう。ジュンのおかげでミコトも、タタラも、死なずに済んだ」
「あたしは依頼を請け負っただけさ。それに、仕事はまだ済んでない」

余程の性癖持ちか朴念仁でもない限り高確率でハートをブチ抜くであろう美しい微笑みを浮かべてアンナの頭を撫でると、人類最強と謳われる請負人は赤の王と向き合った。

「赤の王、あんた宛に伝言を預かってんだ」

軽く深呼吸をする動作すら、美女には映えるらしい。
呼吸を整えて軽く咳払いをし、ニッと挑戦的な笑みを浮かべた哀川潤の纏う空気がそれまでのものから一変した。


「ハロハロみこっちゃん、お久しぶりなんだねー!!」


先ほどまでの凜とした圧のある声とは一変し、若々しい女性特有の透明感と子供特有の無邪気さを兼ね備えた声へと変貌した。
声真似を得意とする人間は芸能界を始め多々いるが、ここまで別人レベルの仕上がりを見せる者はいない。
呆然と固まる一同を意に介さず、哀川潤は遠慮も容赦のカケラもなく爆弾を投下し続ける。

「もー相変わらず力のコントロールど下手くそすぎて私ビックリしちゃったんだよー!だからひーちゃんに教えて貰えって言ったのにー」
「・・・・・・」
「あ、今「うるせぇなぁ・・・」って思ったでしょ?みこっちゃんみたいな単純おバカさんの考える事なんて私にはお見通しなんだよー」

遠慮も容赦も気遣いのカケラもない。

「これに懲りたらいい加減、ちゃんとひーちゃんに力のコントロールのやり方をご教授願う事をオススメするんだね!ついでに、その鉄屑の塊みたいなダモクレスの剣もひーちゃんに頼んで治してもらう事もオススメするんだよ!」

「私の見立てだと、放っとけばあと一ヶ月もすればみこっちゃんの剣はかってに堕ちるだろうから気をつける事なんだね!そんじゃ、さよならバイバイアデュー!」・・・・・・以上。相変わらずテンション高ぇな」

凄まじいテンションの落差である。
元々そこまで頭の回転が良くない吠舞羅面々はともかく、参謀である草薙やセプター4の面々までも呆然と固まる中、ただ一人納得がいったらしい周防は面倒くさそうに頭を掻いた。

「・・・あの時の連中か」
「お、ホントに知り合いなんだな。この伝言預かった時は半信半疑だったんだが・・・その口ぶりだと【ひーちゃん】とも面識あるんだろ?よく記憶消されなかったな」

そう笑う哀川潤に、チラッと自身のーー未だ呆然と固まったままのーークランズマン達に視線を向けるが、彼らには思い当たる人物が記憶にないらしい。
それだけで人類最強の女は全てを察した。
クランズマン達からは【ひーちゃん】とその他に関する記憶を消されており、周防だけは消されていない・・・正確には【消せなかった】。
腐っても王様という事か。

「お姉ちゃん元気?」
「嬢ちゃんも覚えてるのか。あー・・・今回力使いすぎてダウンしてるが、まあ問題無いだろ」




ピロリン
『あの喋り方と声ってあの人だよな』
『他にいねぇだろ、と言いたいところだが、病院に確認したけどまだ意識は戻ってねぇってよ』
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