ねたんこなすび:グロ注意
 
その生徒は≪最後の一人≫となってしまったのです。



卒業試験を間近に控えた六年生の最後の実習は、クラス関係なしに三人一組を作り、各自指定された城に潜入して巻物を取ってくるという内容自体はありふれた物で、期限は一週間。
どの城も優秀な忍隊を有することで有名だが、六年かけて実戦経験を積み重ねた彼らには≪少し手ごわい程度≫の相手だった。

はずだった。

「・・・・・・」

ザクッグシャグチャ

「やめろ、三条やめろ!!」
「・・・・・・」

グチャベチャベシャッグサッ

「しっかりするんだ三条!何があった、他の奴らはどこだ!!」
「・・・・・・」

結果だけを見ると、実習は失敗。
もしもの為に控えていた先生たちが駆けつけた時、何とか発見できたのはかろうじて息があったたった一人だけ。
それでも生きているのが不思議なほどの重傷だった。
発見当時、その生徒は既に意識を失っていながらも、ただひたすら獣の死骸の腹を苦無で抉り続けていたという。

その後三日三晩掛けて残りの六年生の捜索が行われたが、見つかったのは全体の半数の骨ごとぐちゃぐちゃになり原形を留めていない遺体。
そして数えきれない数の潜入対象の城の忍や侍の死体の山、その倍の数はあるであろう狼や山犬、鴉に狐に鷲等々、野生の獣の惨殺体だった。

生き残った生徒と同じ班の生徒を含む残りの半数は一人も発見どころか生死の確認にも至らず。



五日間ほど生死の境を彷徨ったものの何とか意識が回復した生徒の証言を基に捜索を再開した結果、発見されなかった生徒は全員≪形すら残らなかった≫事が判明した。

「・・・実習の対象になった三つの城全部と敵対していた筈の城が・・・秘密裏に手を組んでた」
「あの城、対忍用にいろいろ研究してたみたい」
「毒なのかな。皆、ばったばった倒れてった」

見目の良い奴はその場で侍やら忍隊の連中の慰み者にされて、そうじゃない奴は毒で動けず血を流させたまま木に括りつけて・・・・生きたまま狼の餌にされてた。慰み者にされた奴も、飽きたら放置して獣の餌にされたよ。

「わたしは・・・毒は取り敢えず傷を抉って血ごと流して、そっからは・・・」
「とりあえず、敵っぽい奴は全員首飛ばして・・・」
「・・・獣は、腹裂いて、もうただの肉の塊になってたけど、皆を引っ張り出して」
「そっからは、」

もう覚えてないです

最後にそう証言した生徒は翌日、先生達の手で回収された最早誰が誰か分からない――装束の片から、かろうじて生徒だと分かる――生徒達の遺体と共に学園から姿を消した。
そして本来なら実習完了期限だった、あの日から一週間後のその日、今回の実習対象だった三つの城と今回の黒幕と思われる城の計四つが文字通り瓦礫の山と化したと、山田先生から学園長に報告された。
 
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