1 NighT
 
訓練兵より先に送り出された筈の駐屯兵と先輩部隊が、ほぼ全滅したとの連絡が届いた。

―やっぱりな―
「(何が?)」
―訓練と実戦は違う。経験値の低い連中を考え無しに前線へ送るのは自ら巨人の胃袋に入るのと同じだ―

混乱を極めるこの状況で必要な物は3つ。
1、絶望的状況下でも希望を見出すことの出来る“作戦”。
2、同じく希望とも呼ぶべき頼もしい技能を持つ“実力者”。
そして3つ目は、混乱を治め、最も効率的かつ的確に仲間を勝利へと導く“司令塔”。


前線に出る前に、エレンは“声”の指示に従って104期生全員を集めた。
彼らの目には恐怖が浮かんでいるが、それに屈しない“覚悟”が僅かながらも確かに存在していた。

「(集めたぜ。んで、どうするつもりだ?)」
―お前の口を貸せ―
「(は?)」
―ド素人のお前に話させるのは何か不安だからな―
「(・・・なんかムカつく言い方だな)」

ムカつく・・・が、経験者(と思われる)人間に語らせた方が、素人の自分が語るよりも説得力あるのは事実だ。
(ただし、それはエレン目線での話であって、事情を知らない同期達から見れば「エレン・・・何か雰囲気変わった?」レベルである)
軽く深呼吸をして全身の力を抜くと、空気がピリピリと張り詰めるのが分かった。同期達の顔にも緊張な走り、エレンの口が勝手に動き出す。
※これより下、エレンの口で喋る“声”は一人称“俺”、セリフは『』で表記します。


『前に地図を見ながら何度かシュミレーションしたの、覚えてるか?』
「「うん/ああ」」
『前衛部隊が全滅したってことはガス補給所がヤバいと思う』

常に人がいるそこは、確実に巨人の標的となる。
ガスを失えば戦う事も引く事も出来なる為、ここはなんとしても守りたい。

『何か作戦があると思ったけど、そうでもないみたいだし・・・少しでも生き残れるよう、俺らは勝手にやらせて貰おう』
「良いのかよ。そんな勝手に・・・」

命令違反を促す提案に、あまり乗り気ではなさそうな反応を示す同期達。
軍属である以上その反応は最もだが、訓練兵だけで班編成させて無闇に投入することを作戦とは言わない。
エレン達には実践経験が無いのだから、挑む勇気は必要であるものの無闇に突っ込むのは自殺行為に等しい。
本当なら巨人が壁を潜って入ってきた瞬間を狙い、一匹ずつ確実に始末するべきだったのだ。
 
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