怪我人の救助が一通り終了したらしく、ゾロゾロと集まってくる兵士達。
駐屯兵は率先してウォール・ローゼに怪我人を担架に乗せて運び、途中、何人かがグレンや眠ったままのエレンに対し泣きながら礼を述べていた。
グレンの部下思われる黒服の兵士は、ある者は使用した医療道具を片付け、ある者はグレンに被害報告、ある者は怪我人を運ぶのを手伝っていた。
(細身の女性北兵士が背が2mはある大柄の男を片手で担いだ時には誰もが目を見開いた)
「さっきは有難うございました・・・って、エレン!!?」
そして訓練兵は、帽子を脱いでいたグレンの素顔に目を見開いてた。
「へぇ〜エレンの叔父さん・・・にしては若くねえか!?」
「ホントエレンソックリですね〜服交換したら気付きませんよ」
まさかのソックリさんの登場に年相応に盛り上がる訓練兵。
しかしその笑顔も、駆けつけた憲兵団がエレンを内地に連れて行く頃には消えていた。
「おにいさん・・・・・・エレンはどうなるんですか?」
今にも泣きそうな表情でグレンを見上げるミカサ、そして104期訓練兵達。
モノ言いたげな視線を向けてくる彼らに、グレンは場に不似合いな笑みをこぼす。
良い仲間に会えたんだな。
ならば、護ろう。
愛おしい子の、大切な人達。
手を差し伸べる理由は、それだけ十分。
「エレンなら大丈夫だ。“北(うち)”が総力上げてアイツを護る。だから・・・」
アイツを・・・エレンの事を、信じてやってくれ。
それだけで、アイツの心はきっと救われると思うから。
今にも泣き出しそうな、縋るような、そんな言葉だった。
最後に自嘲するよう微笑むと、グレンはレスティを駐屯兵に託し、部下と共にその場を去った。
紅蓮:花言葉は・・・“救ってください”。
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