「エレンは数日は目を覚まさないだろうけど、命に別状は無い」
「そ、そうですか・・・」
「・・・・・・」
ポンッ
唐突に、グレンがアルミンとミカサの頭に手を置いた。
突然の事にキョトンとする2人を他所に、その頭をわしゃわしゃと撫でる。
「5年ぶりか・・・大きくなったな、2人共」
訳が分からず呆然とする2人だったが、何かに気付いたのかミカサの唇がワナワナと震えだした。
数秒遅れて気付いたらしいアルミンも目を見開きカタカタと震えだす。
軍帽を脱いで微笑みかければ、大粒の雫が頬を伝う。
「よく、生きててくれた・・・」
「ッグレンおにいさん!!!!」
堪えきれなかったのか子供のようにグレンに飛び付くミカサを抱き締め、泣き崩れるアルミンの頭を撫でる。
5年前の超大型巨人襲撃の前まで、よくシガンシナ区の兄夫婦宅を訪れていたグレン。
その為、2人は何度かエレンの叔父であるグレンと遊んだ事があった。
実年齢はともかく外見年齢がかなり若く、博識なグレンは2人にとって“頼れるお兄さん”で、特にミカサにとってグレンは、エレン同様、家族同然の大切な存在だった。
超大型巨人の襲来以降、一切連絡が途絶えてしまっていたのだが・・・
「僕たち、グレンさんは5年前のあの日、亡くなったのだと思ってました」
「まぁ、連絡できなかったからな・・・この通り、生きてるよ」
「・・・おにいさん、全然変わってませんね」
5年前同様、どっからどう見ても十代中頃から後半にしか見えない若々しい容姿。
髪は少し伸びたが、ソレが無ければ5年分成長したエレンと見分けがつかない。
2人が服を交換しグレンが髪を切ったらミカサは気付けない自信がある。
「細かいことは気にするな」
「そうですね」
「いやいやいやいや・・・細かくないからね?」
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