レスティを含め、訓練兵を背に庇うように降り立つ、謎の黒装束の集団。
全員軍帽を目深に被っているが、何人か女性兵士がいるようだ。
女性は男とは服装が異なっている。
逆に、全員が統一して両太腿にレスティと同じデザインで形状の双剣を携え、大半がもう一つ別の武器を背負っていた。
その黒一色集団を率いるように一歩前に立つのは、大地に似たダークブラウンの髪を持つ若い男。
否、男というより細っそりとした体付きからすると“少年”と言うべきか・・・
その後ろ姿を見た訓練兵全員の脳裏に、一つの名が浮かぶ。
「(エレン・・・?)」
「何者d
『あ、グレン隊長』!!?」
ザワッ
今度は“隊長”という大物の登場に、再び騒ぎ始める駐屯兵達。
そして見知った同期とソックリな人物の登場に、一部を除いて唖然とする訓練兵達。
そんなのどうでもいい、と言いたげにスルーし、グレンは己の部下に視線を巡らせた。
「・・・行け」
「「「ハッ!!」」」
頷き返し敬礼の姿勢を取ると、グレンの部下である北の兵士達が一斉に四方に散る。
その背を見送ると、グレンは不機嫌さを隠しもせずに駐屯兵へと視線を戻した。
「北方面駐屯隊第一部隊隊長、グレンだ」
「駐屯兵団隊長、キッツ・ヴェールマン・・・それで隊長殿、何用だ?」
「・・・・・・・・・本来なら、お前達が真っ先にやらねばならない事の手伝いだな」
背中越しでも分かるグレンの苛立ちに笑みをこぼし、こっそりジャン達に耳打ちする。
『この場は隊長に任せて大丈夫・・・私達も行きましょう』
「行くって、どこへ?」
イタズラっ子のように微笑むレスティに、ジャンは首を傾げた。
「やらねばらなぬ事?それは、あの“巨人”を始末すること以外に無い」
「あ"?何言ってやがるテメェ・・・」
期限がさらに急降下したグレンに、一部の駐屯兵が悲鳴を上げる。
「真っ先にやる事と言ったら・・・決まってるだろうが」
『どこへって・・・決まってるでしょう』
「『怪我人の救助ですよ/だ』」
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