BetweEn NighT
 
「・・・何故、“北”の訓練兵がここにいる?」
『第一部隊隊長及び、最高司令官のご命令により、援護に参りました』

先ほどレスティに助けられた駐屯兵がリーダーらしき髭面の男に耳打ちする。
男は納得した様子で、再びレスティに向き直った。

「遠路はるばるご苦労だった・・・部下を救ってくれた事に感謝する」
『お言葉ですが、私以上に大勢の貴方を部下を救った方がいますよ・・・』

そこに。

そう言って身体を少し斜めにズラす。
レスティが言わんとすることを察したのか、ジャン達も視線を交わして頷き合い、身体の位置をズラして駐屯兵達にも“彼”が見えるようにする。

そうすれば、イヤでも彼らの視界にエレンが映る・・・

「ふん、どうせ己が巨人だと悟らせない為の芝居だ」
『芝居でも何でも、助けられたのは変えようのない事実でしょう・・・』


正体を悟られたくなかったのなら、巨人化しなければ良かった話。
今みたいに刃を向けられる可能性があるのに、危険を犯す必要はありません。

第一、自分が巨人だと知られたくないのなら3位なんて目立つ成績取りませんよ。


『・・・変えようのない事実ならもう一つ・・・ね?アルミン先輩』

チラリとアルミンに視線を向ければ、彼はハッとしたように顔を上げ、震えながらも声を張り上げたた。

「そ、そうだ!今この場にいる訓練兵の殆どが、巨人化したエレンに食らいつく巨人の姿を目撃しています!!
 駐屯兵の中にも、その様子を目撃した方がいるのではないでしょうか!?
 巨人はエレンを・・・我々人類と同じ“捕食対象”として、認識したのです!!!」


何人かの目に、同様の色が浮かぶ。
おそらくエレンに助けられた者か、エレンに食らいつく巨人を目撃した者だろう。

だが、髭面の男は一向に引く気配を見せない。



今こうしている間にも、怪我をして動けない兵士が街中に転がっているというのに・・・








「何をやってるんだ、お前達」

104期訓練兵にとって非常に馴染み深い声がその場に響く。

黒い装束に身を包み、月桂冠を被った少女の横顔のエンブレムを背負った見知らぬ兵士達が訓練兵と駐屯兵の間に降り立ったのは、その直後の出来事だった。
 
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