6 NighT
 
組んだ手を口元に当て、自嘲するように微笑むハンジ。

彼女は巨人に仲間を何度も何度も目の前で殺されてきたらしく、調査兵団になった当初は憎しみを頼りに、巨人と戦ってたそうだ。
だが、ある日切断した3m級の生首を蹴っ飛ばした時、気付いたのだという。


その、異常な軽さに。


そもそも、本来ならあの巨体が2本足で立ち、歩く事など不可能。
他にも切断した腕はその質量にあるべき重量に達していなかった。
更に言えば、エレンが巨人になった時、何も無かった所から巨人の体は出現したのだ。


「私は思うんだ、本当は・・・私達に見えている物と、実在する物の本質は違うんじゃないかって」

一旦視線を落として細く息を吐きだし、再び顔を上げる。

憎しみを糧に攻勢に出る試みは・・・もう何十年も試され続けてきた事だ。
だからこそ、既存の見方とは違う点からハンジは巨人を見てみたいのだと言う。

「空回りで終わるかもしれないけど、ね。でも・・・私はやる・・・」


一瞬の静寂が室内を支配した。
それを破ったのは作り出した本人。

だからね、と無邪気な笑顔をレスティとウィルに向ける。

「キミ達“北”にも、是非とも協力してもらいたいんだ」
「・・・決定権はオレには無いですよ?」
「それでもいいよ、向こうのお偉方と仲介してくれれば、あとはこっちで・・・」
「あ、そうじゃなくて・・・」

ハハッと苦笑気味にレスティに視線を向ける。
向けられたレスティは乙女にあるまじき仏頂面で睨み返すのであった。

『ジャック教官長の許可、取ってくださいよ』
「そっちは平気だろ。問題は、エルヴィンさんの許可が出るかどうか」
「え、そこ?何で?」
「・・・許可が出るかどうか分からない、危険な物なのか」

と、ここで今まで一言も発しなかったリヴァイが口を開いた。

「危険はないと思いますけど・・・物理的には」
「「は?/え?」」

物理的にはともかく、その他の面で色々と問題があるかと・・・

「移動手段が他に無いのが問題だな」
『・・・それ以前に、第四部隊の所有物ですよ』
「最悪、元帥に直接お願いすれば問題ないだろ」

だからお前ら、何の話だよ。
 
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