「オレは偶像主義ではないので、人間らしくて安心しました」
「・・・エレンは良い子ね」
“良い子”なんかじゃない。
“人類の希望”の意味を、その重みを、全く理解できていないただの子供。
けれどいつか、この名の重みを理解する時が来たら・・・同じ重みを背負う者として、あの人達の支えになる事が出来るのだろうか・・・
「エレンよ、取り敢えず合格だ。それが終われば食事の用意をしろ」
「・・・はい」
再び顔を出したリヴァイに、エレンは柔らかな笑顔を向けた。
その日の午後エルヴィンがハンジ、ウィル、そしてレスティを伴い旧調査兵団本部を訪れた。
北方面駐屯隊の最高司令官との会談は今日だったはずだが、ウィルとレスティを連れている辺り、どうやら午前中に話し合いは終わったらしい。
「随分と早かったじゃねえか」
「北の最高司令官殿は中々話の分かる方のようだよ」
お陰で随分とスムーズに話を纏める事が出来た。
そう呟きながら視線をレスティに向けると、二人は互いに頷きあって敬礼した。
『北方面駐屯隊第四部隊所属、第38期訓練生レスティ・イリアーデル』
「北方面駐屯隊第一部隊副隊長、ウィル・クライザーです」
「セレスティア総帥の会談の結果、この2人にも特別作戦班に加わってもらう事になった」
会談で決定したことは他にもある。
・グレン・イェーガー隊長率いる第一部隊が、戦力として調査兵団に加入。
・北方面駐屯隊のパトロンは資金の三分の一を調査兵団に回す。
・北が開発した武器を次の壁外調査で導入する。
「開発した武器は、後日グレン隊長がサンプルを持ってくるそうだ」
第一部隊は隊員20程度の小規模な部隊だが、所属する兵士は全員単騎討伐数2桁を有する実力者なのだという。
隊長副隊長レベルになれば3桁を越すとか何とか・・・
ちなみに“北の人類最強”と謳われるグレンは立場上、滅多に来れないらしいが、
《彼は彼にしか出来ない方法で協力してる。詳しい事はエレンが知っているわ》
との事だった。
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