5 NighT,
 
[大切な家族の“仲間”なんだもの・・・協力しない理由など、存在しないわ]
[詳しい内容は後日、調査兵団本部にて、話し合いましょう・・・]

[Dear.調査兵団団長エルビン・スミス]
[From.北方面駐屯隊全部隊最高司令官、セレスティア=コールヴォイド]


「以上が調査兵団団長、エルヴィン・スミスに当てた、セレスティア総帥からの書状だ・・・」


開いた口が塞がらないというのは、まさに今のような現状を言うのであろう。

これまで、北方面駐屯隊は南方面駐屯隊に対し、一切干渉をしなかった。
それは、南方面駐屯隊に所属する調査兵団、駐屯兵団、憲兵団の一部兵士達が“北の存在を知らない”・・・というレベルの話だ。

それが、今はどうだ。

大佐という大物中の大物の“家族”を庇うだけなら、納得がいく。
だが、“家族”の“仲間”だから、協力する?
彼らからすれば、調査兵団は他人でしかないはずだ。

一切面識が無い者が殆どで・・・実際、エルヴィン達が初めて会った“北”が、グレン達だ。


「お前らの疑問は尤もだ・・・けど、これがうちの総帥だ」

“家族”と“仲間”を護る為なら、例え全人類を敵に回すことすら厭わない。
“大切なもの”を失うことを何よりも恐れ、ただひたすらその“未来”に怯え涙を流す、心優しい人。

・・・それが他人であっても、少しでも関わりがある存在であるのなら・・・
どんな小さな、遠い関わりだったとしても、失うことを恐れる・・・


「今まで“南”に無関心だったのは、関わりがなかったからだ」

お前らだって、身内でも部下でも上司でも恋人でも友人でも隣人でも何でもない、一切関わりのない赤の他人を助ける義理は無いだろ?

その言葉には納得せざるを得ない。



「次の壁外調査、北はどんな協力も惜しまないつもりだ」

最後にそう付け加えると、グレンはウィル達を引き連れ、医務室を後にした。
 
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