5 NighT
 
グレンがジャケットの内ポケットから取り出したのは、一枚の羊皮紙。

女性が書いたと思われる流麗な文字が書かれ、北方面駐屯隊のエンブレム・・・と思われる判が押されている。
そして、文字と判を囲うように、金箔で描かれた蔦が縁取っていて・・・

・・・随分と高級そうな一品で・・・

「北方面駐屯隊全部隊最高司令官、セレスティア=コールヴォイド総帥からの書状だ」
「・・・会議の後、豚どもを黙らせていたのは、それか」
「ああ、よく見てたな。チビ」

会議の後、決定したエレンの処遇に納得していない様子の豚がいた為グレンは真っ先にエルヴィンに見せなければならなっかた筈の書状を、彼らに見せた。
結果、見事彼らを黙らせる事だできたのだ。

・・・お陰で、2ページ前のような展開になったのだが。


「万が一、エレンの身柄が憲兵団預かりになった場合の最終手段として、総帥から預かった」

使わざるを得ない結果にならなくてよかったよ・・・
安堵の表情を見せ、ボソッと呟きながら、グレンは書状をエルヴィンに手渡した。
一通り読み進め、後半部分に視線を落とす・・・そこに記されていたのは驚くべき内容。

「これは・・・ッ」
「どうした?エルヴィン」



[エレン・イェーガーは、第一部隊隊長グレン・イェーガーの甥に当たる]
[私達の“仲間”の“家族”であるならば、私達はエレンを私達の“身内”とみなす]
[ご存知の通り、私達は巨人の殲滅や人類の存続以上に“家族”と“仲間”を重んじる]
[もし、私達の“家族”を殺すような結果になるのなら・・・]

[私達は、今まで巨人達に向けてきた刃を貴方達に向けざるを得ない]


「・・・“北のやる事成す事に、一切口出しするな”・・・」
「その勅命を、上手いこと利用した脅しだな」

これなら、会議でエレンの処刑が決まっても充分ひっくり返すことが可能だろう。
それが、前半部分に書かれていた内容。

驚くべきは、後半部分・・・


[しかし、もしエレンを生かす方向で決定した場合・・・]
[私達の大切な“家族”の身柄が、調査兵団に預けられるというのなら・・・]




[我々北方面駐屯隊は、調査兵団に対する“全面協力”をお約束致しましょう]
 
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