――そうだ・・・オレは欲しかったんだ。一人じゃ何も出来ないから・・・
だから間違っていないと・・・肯定してくれる人が・・・――
―-俺を信じるかはお前次第だが・・・・・・何があっても、お前を護ると誓おう-――-どんな力があろうとお前は“エレン・イエーガー”だ。それ以外の何者でもない-――-人であろうとする事を諦めるな-――-お前は、お前が後悔しない道を選べ・・・-―何気ない会話の中で聞いた“声”の言葉が、今になって脳裏に蘇り、不思議なくらい心を満たしていった。
最初はかなり警戒してしまったけれど、今なら分かる。
あの“声”はエレンの身を本気で案じ、護ろうとしていてくれた事を。
「・・・エレン」
「ハンネスさん」
「良くやったな、エレン・・・・・・・・・無事で良かった」
「・・・・・・ッ」
堪えきれず目頭から涙が零れ、隠すように顔を伏せた。
もしかしたら、ハンネスにまで化け物扱いされてしまうんじゃないかと、正直怖かった。
しかし、見上げた彼の表情には、欠片ほどの恐怖もなく、
ただエレンの身を案じる、優しさの色があった。
ボロボロと溢れる涙は留まる事を知らず、エレンは声を殺して泣き続けた。
「泣くなとは言わん。涙は悪いもんとは決まっとらんからのう・・・ワシらはそろそろ出るとするか。
エレンよ、忘れてくれるな・・・こうしてお主に感謝しとる者もいる事を・・・決して忘れてくれるなよ」
「・・・・・・・・・はいッ!」
憑き物が落ちたようにスッキリした顔のエレンを見て、ピクシス達は地下室を出て行った。
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