1 NighT
 
“声”の言う援軍はまだ到着していない。


―エレン、聞け―
「(作戦でもあるのか?)」
―ああ。だがその話をする前に、お前は・・・・・・―


「ウダウダしてたらここにも巨人が集まってくる!機動力を失えばオレ達は終わりだぞ!!だったら一か八か、あそこに群がる巨人を殺るしかねえだろ!!」
「けどよ、コニー・・・前衛の先輩方はほぼ全滅。オレ達訓練兵の誰にそんな決死作戦の指揮が・・・・・・」


ヒュン


諦めが見え隠れする表情でコニーを諭すジャンの脇を、漆黒の風が吹き抜ける。
風、というよりも、今のは黒い何かが目にも止まらぬ速さで、おそらく立体機動で飛んで行ったと言うべきか。

「え?な、何ですか?今の風・・・黒かったですよ」
「えっと・・・・・・風、じゃ・・・ないね、何かが飛んでいった、のかな・・・?」


ザンッ!!!


それは、ホンの一瞬の出来事だった。
混乱するサシャとアルミンを他所に、その黒い“何かはが群がる巨人の間を縦横無尽に飛び回る。
直後、補給所の壁に張り付いていた15m級4体の項が大きく抉られ、巨人は一瞬で蒸気と化して空に消えた。

「マジかよ!」
「一瞬で4体も倒しやがったッ」

黒い“何か”はスピードを落とす事なくUターンをし、エレン達のいる建物の屋根に軽やかに降り立つ。
“何か”の正体を認めると、エレンの口を勝手に動かしている“声”は周囲に気づかれないよう微かに口角を上げた。

『やっと来たか・・・』
 
[ 7/7 ]
*Prev│Next#)
しおりを挟む
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -