5 NighT
 
軍帽の中に押し込んでいた前髪がパサリと揺れて双眸を覆う。
鬱陶しそうに髪を掻き上げ、エレン以外の面々の視界にもその素顔が顕になる。

「「「!!!???」」」

そこにあったのはダークブラウンの髪と黄金の双眸。
エレン・イェーガーのそれと、鏡合わせのごとく瓜二つの容貌だった。


「オレに戦い方を教えてくれたの・・・グレンさんだろ?」
「ああ。お前素人だし、心配だったから」
「・・・ありがとう・・・お陰で、皆を守ることができた」

話に全くついていけない大人が約4名。
グレンの部下と思われる黒服達は事情を察しているらしく何も言わない。

ここで置いてけぼりを食らっていた4人の内、最も好奇心旺盛な奇行種ことハンジが駄々っ子のごとく地団駄を踏みながら口を開いた。

「だーッ!!も、ちょっと待ったぁ!!!お二人の関係は!?何でグレン・・・隊長?は何でエレンと同じ顔なの!?しかも同じ声!!?まさかの双子!!!?」
「・・・それは俺がガキに見えるって言いたいのか?」

ハンジの発言に一気にグレンの機嫌が急降下し、身の危険を察した黒服が一歩下がった。
約一名を除いて。

「ブブッwww隊長15歳に見えるってwwwwwwww」
「黙れ」ドゴォッ
「痛ぇ!!!」
「ちょ、グレンさん!落ち着いて・・・」

自業自得だ、金髪よ。
マジギレ寸前のグレンを腕を掴んで必死で宥めるエレン。



なんとかその場を治めると、事情を説明すべく呆然としている4人に向き直った。

「えっと・・・グレンさんは父の弟で、オレの叔父に当たるんです」

見た目ちょっと・・・いえ、かなり若いですけどね。
そう最後に付け加えるエレンに、エルヴィンはようやく納得がいったらしい。

「成る程・・・だから“北”が動いたのか・・・」
「それ以外もあるけど・・・あと、104期訓練兵にコイツの従兄弟がいる」

そう言って、グレンに蹴られて沈んでいる金髪を指差す。
言わんとすることを察したのか、宥めていたオレンジ系の茶髪の女性が蹲る金髪を立たせた。

「・・・大丈夫ですか?副隊長」
「慣れてますよって・・・北方面駐屯隊第一部隊副隊長のウィル・クライザーです」

帽子を脱げば、琥珀色の錦糸がパサリと揺れて黄水晶の双眸が顕になる。
少し高めの声からして、かなり若いが・・・グレンよりも2つ3つ歳上に見える。

だなんて決して口にしてはいけない。


ウィルと名乗った青年は、まだあどけなさの残る笑顔を浮かべエレンの頭を撫でた。
 
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