5 NighT
 
「まったくリヴァイh、コンコン・・・

リヴァイにやられたエレンの傷を診ながら、ハンジが愚痴をこぼしていると室内をノックの音が響き、居心地の悪い静寂が、その場を支配した。

「入るぞ」

こちらの返事も待たず、遠慮無しに扉が開かれる。
一瞬の間の後に入ってきたのは、グレンを初めとした“北”の黒服連中だった。

「・・・“北”が、何の用だ」
「チビに用があるわけじゃないから安心しろ」

素っ気のないグレンの返しと“チビ”という単語に、リヴァイの眉間のシワが3割増す。
その顔を真横から見ていたエレンの顔は当然真っ青。
一方のマイナス50度の睨みを向けられた張本人たるグレンは全く気にした様子もなく、青褪めたまま硬直しているエレンに歩み寄り、労るようにまだ腫れの残る頬に触れた。

「・・・痛むか?」
「え・・・い、いえ。もう殆ど治ってますし・・・」

若干頬を染めてワタワタするエレンに微笑し、わしゃわしゃと頭を撫でる。
瞬間、俯いたままポカンとした表情で再び固まるエレン。



「あ・・・」



パッと、弾かれたようにグレンを見上げる。

・・・下から見上げているからこそ、ようやくエレンは気付くことができた。
今まで“南”に対して、全くの無関心であった“北”が、こんなにも優しい理由に。

目深に被った軍帽に隠された、その素顔と、真実に。



苛烈に煌めく黄金の双眸が優しく、慈しむかのように細められる。

「・・・できれば、最初に声聞いた時点で気付いて欲しかったけど・・・五年ぶりだからな」
「うん、ごめん。グレンさん」

敬語を外したエレンに照れくさそうにはにかみ、ここに来て初めてグレンは軍帽を脱いだ。
 
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