3 NighT
 
エルヴィンとリヴァイが地下室を訪れて数日が経ったある日、今度は駐屯兵団の司令官ピクシスが、ハンネスを伴って訪れた。



ハンネスは父の知り合いで、五年前の超大型巨人の襲来の時、エレンとミカサを助けてくれた恩人だ。
地下牢に幽閉されてから顔馴染みの面々に会う事が出来なかった為、目頭が熱くなる。

ピクシスの事はよく知らないが。
超絶美人の女形の巨人になら食われてもいいとか言う変人だと噂で聞いた。



「体調はどうじゃ?エレン訓練兵よ」
「ピクシス司令・・・体調は変わりありません」
「上が勿体ぶった所為で時間がかかってしまっての・・・“北”が仲介してくれたお陰でようやく面会に漕ぎ着けたのじゃ」

人か巨人か曖昧な得体の知れぬ物に、イタズラ好きの子供のように瞳を輝かせるピクシス。
どうやら噂に違わぬ変人のようだ。

にしても・・・また“北”か。

先日のエルヴィンの口振りや目の前にいるピクシスの様子から見る限り、“北”が自ら“南”に関わるのは本当に珍しいらしい。
ローゼを横断したのに一度もガス切れを見せなかったレスティの立体起動装置を見る限り、相当な技術力を備えているだろうに・・・


うん、ちょっとムカつく。
などと考えていると、突然ピクシスが穏やかな笑みと共に頭を下げた。


「ただ、お主に一言礼を言いたくての・・・・・・ワシの部下達を助けてくれて、ありがとう」
「・・・いえ、それでも駐屯兵は前衛で沢山戦死しました。もっと早くに対応していれば・・・」

もっと沢山の命を救えたのではないか。

ピクシスが言っているのは、トロスト区奪還の際にエレンが拾った兵士の中に彼の部下がいた事だろう。
あの時は兎に角必死だったし、何よりエレンの体を動かしていたのは、エレンではなく“声”だ。

その為、あまりハッキリとは覚えてはいない。


「思うことはいつでも出来る・・・だが、結果はやってみんと分からんじゃろう」

そして、お主は沢山の市民を、兵を守った・・・・・・もしトロスト区が破られ、次の壁まで後退しとうたら・・・
口減らしのために、また多くの者が犠牲となる。
巨人ではなく、人間同士で殺し合うことになったやも知れん。

「・・・お主はようやった。もう一度言うぞ、お主はようやってくれた・・・ありがとう」
 
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