3 NighT
  
それはエレンが父、グリシャから託された地下室の鍵・・・
あの日以来、エレンが常に肌身離さず持ち歩いていたものだ。

「この鍵は君の持ち物だね?ミカサ・アッカーマン訓練兵が君の生家の地下室の鍵だと言っていたが」
「はい。必ず地下室に行くように、と・・・おそらく、そこに巨人の秘密があるのだと思います」
「イェーガー医師の所在は?」
「・・・・・・・・・分かりません」


五年前の超大型巨人の襲撃で母・カルラを亡くし、開拓地で鍵を託されたのを最後に、それ以来父は行方不明だ。
もちろん嘘は言っていないし、あの“声”が勝手に口と思考を動かしているという事でもないが、
説得力の欠ける話ばかりだ。


「まだまだ分からない事だらけだが・・・今すべき事は君の意思を聞く事だと思う」
「オレの意思ですか・・・?」
「君の生家を調べる為にはシガンシナ区ウォール・マリアの奪還が必要となる」

そして、それには破壊されたあの扉を速やかに塞ぐには飛躍的手段、エレンの《巨人の力》が必要になる。
話を聞く限り、どうやらエルヴィンは《超大型巨人》と《鎧の巨人》がエレンと同じ原理だと考えているらしい。

この短い時間のの中でそこまで突き止めたエルヴィンに、素直に感心するエレンだった。


「君の意思が《鍵》だ。この絶望から人類を救い出す《鍵》なんだ」
「オイ、さっさと答えろグズ野郎。お前がしたいことは何だ?」

射殺しそうな鋭さの視線を向けてくるリヴァイの言葉に、エレンは目を伏せて思考を巡らせた。
ここで長々と言葉を並べて取り繕ったところで、今更状況は変わらないだろう。



―-後悔しない道を選べ、エレン-―
「・・・調査兵団に入って・・・巨人を駆逐したいですッ!!」



静寂が地下室を支配し、一秒が何時間にも感じられるような緊張感が漂う・・・


嫌な汗が頬を伝った。


狂気に似た激しい憎悪を称え、苛烈な輝きを放つ黄金の瞳を見据えていたリヴァイはフッと口元を緩めた。
同時に、それまで張り詰めていた空気が一気に緩む。
 
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