3 NighT
 
目を覚ますと、真っ先に視界に広がるのはゴツゴツとした岩が剥き出しの天井だった。
“声”の言っていた通り、ここは地下室なのだろう・・・
空気が湿気を含んでいて、少しヒンヤリとしていて肌寒い。

上体を起こせばジャラリと、手首の枷とベッドの枠を繋いでいる鎖が鳴る。


「・・・エルヴィン団長、リヴァイ兵長」

見知った気配を感じて顔を上げると、視線を上げた先・・・鉄格子の向こう側には、憧れてやまない人の姿。

エレンは穏やかに微笑を浮かべた。

対する二人は、異常なほど冷静さを保ったままのエレンに、訝しむような表情を浮かべた。
リヴァイは眉間のシワがヤバイ事になっている。

「上官に敬礼もせず、申し訳ありません」
「ああ、いや、構わないよ。君は3日間昏睡状態だったのだが、気分はどうだい?」
「はい、問題ありません・・・・・・一つ質問しても宜しいでしょうか」
「何だい?」
「・・・・・・みんなは、どうなったのでしょうか」

握り締めた掌が震えている。
不安な気持ちを表情に出さないよう懸命に隠すエレンは、二人の目には初めて年相応の子供に映った。

エルヴィンによると、今期の訓練兵は中々優秀だそうで、さすがに全員無事とは言えないが、死者は驚くほど少ないそうだ。
今は皆、それぞれで待機しているらしい。


「こちらからも質問をしてもいいかな?」
「はい、構いません」
「トロスト区襲撃の際の作戦は住民避難の完了までの足止めだったようだが・・・
 なぜ自分達だけで実行したのかな?」

・・・当然の質問だ。

あの時あの場で生き残った駐屯兵の大半が、訓練兵の命令違反を目撃している。

だけど、ミカサの言ったように混乱した状況下では筋書き通りにいかない。
実際、エレン達は見捨てられた。


“声”がレスティを送ってくれなければ、
“声”のアシストでエレンが巨人化が上手くいかなければ、成功し得なかった穴だらけの作戦だ。
 
[ 1/6 ]
(*Prev│Next#
しおりを挟む
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -