2 NighT
「訓練兵!遅れてすまない・・・援護する!!」

こちらへ向かって立体起動を駆使する駐屯兵団の精鋭部隊が見える。



ダメだ。
死んでしまう。
殺されてしまう。
大岩を運び、穴を塞ぐエレン先輩を護る為に、
名前も知らない兵士達が・・・皆、皆・・・死んでしまう。


食われて・・・
潰されて・・・
コロサレテ・・・



気づいたら駐屯兵を掴んで口に運ぼうとする巨人の腕に降り立っていた。

大口を開けていた巨人の首を項ごと落とし、落下した駐屯兵の男性を受け止めて、
どこも骨が折れてないことを確認する。


「あ、ありがとう・・・助かった」
『いいえ、怪我がなくて良かったです』

発した声は自分でも驚くくらい低くて、怒りで満ちていた。


風が吹いているわけでもないのに髪が揺らめく。
北方面駐屯隊所属の証とも言える、黒のロングジャケットが翻る。


瞳孔が縦に細まり、刃のような鋭さを秘めたレスティの金の瞳が狂気に似た苛烈な光を灯す。
緩慢な動作で巨人に振り返り、湧き上がる感情の奔流に従って地を蹴った。

その手には、先程まで無かったはずの黄金の錫杖が握られていた。








7m級5体10m級3体15m級2体、計10体の項から上が一瞬で消え去るのを見た兵は、幸いなのか、1人もいなかった。
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