2 NighT
レスティの単騎巨人討伐数が二桁に達した時、視界の端にエレンに群がり食らいつく巨人の姿が映った。
これは彼が京人の姿となっても、変わらず巨人の捕食対象である証拠とも言える光景で、同時にこのままでは、彼は巨人に殺されてしまう可能性を物語っていた。


それは、絶対にあってはならないことで。


近くの建物にアンカーを打ち込み、遠心力を利用してエレンに食らいつく巨人三体の項を削ぐ。
全身にまとわりつく“紅”の濃度が更に増し、蒸気に視界を遮られ、鉄臭さに鼻が使い物にならなくなる中、それでも彼女は軽やかに構わず空中を舞う。

巨人よりも高く飛んだレスティは刀を振り上げると、地面にアンカーを打ち込んでワイヤーを巻き、勢いよく巻き取られるがままに従いそのまま落下した。
そして、その勢いを殺さないまま刀を振り下ろし、巨人を頭から項ごと縦に両断する。
両断された巨人が左右に倒れ、蒸発し始めるも待たずに今度は別の巨人に向かって飛び、首を項ごと飛ばす。



『・・・ッ!!!』

残りは片手で数えられる数まで数を減らしたというのに・・・
返り血で鼻が利かなくなった事が仇となり、背後から近寄ってきた巨人がレスティの身体を掴んだ。

握りつぶす勢いで握られている為、骨が折れる音と衝撃が鈍痛を伴って内側から鈍く響く。
しかしレスティは痛みを感じさせない冷静さで双剣を逆手に構えなおし、両腕を交差させる。
綺麗に指が切り落とされれば、支えが無くなった身体は当然地面に落下するが、その前に素早く建物にアンカーを打ち込んで屋根に降り立った。

そして振り返った先に広がる光景に、レスティは双剣を構えることを一瞬忘れた。

『先輩方・・・』
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