2 NighT
「エレンが巨人!?」
「嘘だろ・・・」

補給所に入り、中に入り込んでいた巨人を掃討(主にミカサが)していた面々は崩れた窓から窺える光景に愕然とした。
誰もが、信じたくないと・・・そう言いたげな表情をしている。

その中で真っ先に正気に返ったのは、幼馴染であるミカサとアルミン。
エレンに救われた過去を持つ二人にとって、エレンがエレンである以上、巨人だろうが人だろうが関係無い事だ。

「関係ない。私はエレンを信じてる。エレンも私を信じてくれた・・・それで十分」
「うん・・・確かに少し驚いたけど、エレンがエレンである事に変わりはないよ」

二人の言葉に対する周りの反応は薄い。
頭では分かっていても、誰だって巨人は怖いのだ。

「それは・・・分かってるけど、巨人だぜ?」
「ああ、いつ俺たちを襲い出すか・・・」
「レスティも・・・エレンが巨人だって事も知ってたみたいだし」

ミカサの目に剣呑の光が宿り、音もなく半刃刀身に手を伸ばすのを、アルミンが慌てて抑える。
そんなピリピリとした空気の中、おバカコンビでお馴染み、コニーとサシャが声を荒げた。

「ッあー!うっせえな!!今あいつらはオレ達の為に戦ってるじゃねえか!!!」
「そうですよ!助けて貰っておいて何ですかそれ!?」


今こうして104期生の殆どが生き残る事が出来たのは、エレンが皆を励まし、圧倒的な強さで導いてくれたから。
そして、無事補給所に入ることが出来たのは・・・道を開いてくれたのは、エレンと、自分達とは全くの初対面で、一切の関わりを持たない筈のレスティである。

「・・・早く。こうしてる間も、二人は戦ってる・・・私達の為に」

窓の向こうでは、巨人の返り血を全身に浴びながらも、
皆がガスを補給する時間を稼ぐべく、軽やかに空中を舞うレスティの姿があった。



俯いていた顔を上げる同期達の目に、もう迷いの色は欠片程も無い。



視線を交わし、皆が大きく頷くのを確認し合うと、半刃刀身を構えたミカサを先頭に下の階へと降りていく。
全ては一刻も早くガスを補給し、自分たちを護る為死闘を繰り広げる二人を護る為。
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