2 NighT
「(良かったのか?レスティまで巻き込んで・・・)」
―-問題ない。アイツは俺が知っている中でもダントツの実力者だ-―
「(いや、そういう問題じゃなくて・・・これやるの初めてなんだぞ?)」
―-レスティなら素人の動きなんざ簡単に読めるし、俺もいるから暴走はマズ無いさ-―
「(何処から来るんだその自信・・・『行けるか?』聞けよ)」


鬱陶しかったのか、フードを脱いで羽織っていたローブを投げ捨てるレスティ。
薄金の髪がふわりと風に翻り、その隙間からは鋭い黄金の双眸が覗く。

項で一つに纏めた髪を煌めかせ、幼さの残る少女は凄艶に微笑んだ。


『何時でもどうぞ。“お二方”』


動じる事のない凛とした答えに、相手に気づかれないように密かに口角を上げる。
そして“声”に教えられた通りに、左手の親指の付け根を噛み切った。

直後、身体を包み込む熱の奔流と立ち上る蒸気。
気がつけば、屋根の上の仲間たちを見下ろす高さまで、エレンの目線が上がっていた。



―安心しろ、エレン。お前の心は、俺達が守ってやる―
「がああああああぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」



獣のような咆哮を上げ巨人化したエレンは補給所に群がる巨人を掴み、引き摺り倒して項を潰した。

大口開けて、ヨダレ撒き散らして飛びかかってきた奇行種は触りたくもなかったので、項ごと首を蹴り飛ばす。
死角から飛びついてきた巨人は、いつの間にかレスティが項を削いでいた。


一切無駄の無い、修練された兵士のような見事な連携で、二人はアルミン達が補給所に入る姿を見届けた。


『エレン先輩、―――様・・・私達で皆さんをお守り致しましょう』
「ぅおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

エレンの肩に降り立ち、フワリと微笑みを浮かべて互いの意志を確認する。
二人は背中を預けるように、真逆の方向に走った。
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