とりあえず、B13まで降りてみる。なぜ上がらなかったかだって?
…下の階にも何かあるかもしれないだろ?

「おい、そっちから回り込め!」
「くそっ!何で開いたんだ!?」

階段を降りるとバタバタと看守達が駆け回っているのが見える。チッ…気付かれるのは面倒だな。
階段から近い物陰にサッと隠れると、目の前にチラッと雪が降ってきた…。建物の中なのに何で雪?

「何で雪が…」
「誰?」
「!」

静かに、しかし確かに聞こえた声。奥の方をジッと見つめると、水色の髪の奴がオレの方を見ていた。ソイツの回りにはチラチラと雪が舞っている…何かの能力か?

「お前、その雪」
「あぁ…ただの能力」

世の中ってのは広いな。オレは心の中でそう呟く。ここに連れて来られた奴等は訳有りが多いと聞く。コイツも恐らく何か仕出かしたんだろう。
しばらくの間、ジッとお互いに動かないでいたら

「おい!居たぞ!」
「Σ!、何で感ずかれた!?」
「多分俺の雪のせい…かな?」

ほら、と水色の奴がオレの後ろを指差す。バッと振り向くと雪が水滴になっていた。

(これか!)

足音に気づけなかったオレ自身にも舌打ちしながら、バチッと体に電気を纏い始める…
看守を麻痺にしてやろうと思ったが、オレの目の前に大きな氷の塊が降ってきやがった!!

「がっ!?」
「!?」

それに押し潰された看守はもう動かない。

「……オメェが?」
「……そうだけど?」

チラチラと雪がオレの近くにまた降りだした。目の前の奴はオレを"助けた"と見ていいのだろうか…。

(バタバタ)

!……看守の奴等、今の音に気づいたな。まだ微かに聞こえる範囲だから遠いな…

「おい!雪のお前!」
「?」
「そんなつもりはなかっただろうが、助けてくれた礼だ!しばらく付き合ってやる!」
「!、何で?俺はただやって来た看守を潰しただけだよ?」
「お前のその雪じゃあまた見つかるのが落ちだろうが。オレは耳が良いんだ…足音で誰が来るかはだいたい分かる。捕まりたくなかったらサッサと来な!」

オレより身長が高いソイツの腕を引っ張り、看守の足音が聞こえる方とは逆の方向へと走り出す。

「オレはお前みたいに立派な能力はねぇ!音はオレが拾ってやる、だからお前は…」
「さっきみたいに、見つかったら潰せ…ですか?」
「分かってんじゃねぇか」

前からも足音が聞こえてきだした。挟み撃ち…それだけは勘弁だな。
近くの物陰に雪の奴を最初に押し込めて、物陰付近の床の水滴を軽く靴底で拭く。

「おい、もうちょい奥行け」
「…」

看守達が物陰の前を走り去るのを確認する。
はぁ…気づかれずに済んだ。

「さて、階段見つけるとするか…おいおま「ハイト」…は?」
「俺の名前。お前とかじゃないよ」

ハイト。確かに目の前の奴はそう言った。

「そうか…オレは輝だ。ハイト、しばらく手伝ってもらうぜ?」
「…輝ね。いいよ…しばらくね」

とりあえず、上を目指して行きますか…
ハイトとオレは看守達が来ないのを確認して物陰を出た。



共同といきましょうか


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